こんにちは、十姉妹のシオコショウの飼い主レモネフです。
今回は十姉妹の求愛ソングについて。
十姉妹はそれぞれ固有の求愛ソングを持っている
十姉妹はそれぞれのオリジナル求愛ソングを持っています。ベースとなる歌の鋳型(DNA情報)は親から受け継ぎますが、それを自分自身でアレンジしてオリジナルソングとして完成させていくのだそうです。
うちで暮らしている十姉妹のシオ・コショウはともにオスです。
シオコショウは違うペットショップからお迎えしているので、聞いているとリズムや音階も大きく違うなあという印象です。
普通に求愛ソングを歌うとこのようになります。(シオ→コショウの順)
シオは甲高く、コショウはいわゆる鳥のさえずりという感想を抱きました。
求愛ソングをスローで録ってみたら
飼い主レモネフは最近かわいいシオコショウをスロー撮影するのにはまっています。求愛ソングを歌っているときに何気なく録ってみたら意外にも面白い発見がありました!
コショウの求愛ソング スロー再生
ひとり古代の森?怪鳥の鳴き声が聞こえますね。
「ヨオ!ヨオ!ヨオ!ヨオ!」の部分がサビみたいですが、注目すべきは最後らへん。「(トン)グーー!(トン)グーー!(トントン)グーー!」と、くちばしを閉じる音も歌の中に含まれているところです。
今まで普通に聞いてたら高音に押されて全然知らんかった!
もう一匹の十姉妹、シオがどんな発声をしているのか楽しみです。
シオの求愛ソング スロー再生
オシャレか!!!!
なんかシオ……音階持ってね???
#ファーシッ [ファー#レッ(すっぽ抜け音)] #ド#レ#ソ#ファ #ファーシッ
ピアノの音階を(多少無理に)あてはめるとこうじゃないかって飼い主が言ってる
ギターでこういう技法なかったっけ?こういう音楽ジャンルなかったっけ?と思わせてしまうような求愛ソングでした。
人間の飼い主レモネフとしてはシオのほうがモテそうと思ってしまいました。
ひとり古代林だってワイルドでかっこいいのに…
鳥の言語がめちゃくちゃ気になってきた
今まで「また歌ってまちゅね〜」「大体同じリズムでちゅね〜」とにこにこ聞き流していた求愛ソングをスローで聞いてみたら、10秒程度の求愛ソングの中にここまで複数のリズム、発声法が含まれていたなんて!
他の子の求愛ソングも聞きたいと思っていたら、Twitterでりこあさん(@ricoa_JSK0315)が十姉妹の葵ちゃんの求愛ソングを載せてくれました!!
葵ちゃん求愛ソング スロー再生 byりこあさん
葵ちゃんの求愛ソング(普通ver.パート1)#十姉妹 #葵 #アオイ #求愛ソング pic.twitter.com/pFyPLUo5Ho
— りこあ (@ricoa_JSK0315) June 21, 2020
葵ちゃんは普通再生の時点で音階を持って聞こえますね!
シッシッシッ シ#ファ♮ファミファ#ファッシ!
次がスロー再生の動画です。
葵の求愛ソング~スローver.の撮影に成功しました🤗#十姉妹 #葵 #アオイ pic.twitter.com/JK1IcGiQBy
— りこあ (@ricoa_JSK0315) June 21, 2020
音階を持つ「グワッ」の音と高い「キョキョキョ」の音を織り交ぜながら複雑に鳴いています。普通再生では「キョキョキョ」の存在に気付けませんでした!
十姉妹はそれぞれ違うオリジナル求愛ソングを、人間にはわからない発声も含めながら歌っていることがわかりました。
葵ちゃん出演ありがとう!りこあさんも引用のご快諾ありがとうございました。
鳥(怪物含む)言語について書かれている本
「人間には見えないスピードの会話」でこの漫画のことを思い出したのでここで紹介。
ヘテロゲニア リンギスティコ 〜異種族言語学入門〜
怪我をした教授に代わり、魔界でモンスターとの言語的&非言語的コミュニケーションの調査を任されたハカバ君。ガイドのススキと共に魔界を旅をする、新人研究者の苦悩と日常を描いたモンスター研究コメディ!
あくまでもモンスターの言語研究コメディなんですが、登場するモンスターは現実の動物を模している生物も多いです。 その中でも怪鳥ハーピーのエピソードが今回の「はやすぎて知らなかった」に近いと思いました。2コマだけ引用します。
異種間の「言語わからん」は人間同士の「文法や単語がわからん、発声しにくい」範疇にとどまらず、人間の有する身体機能を超えた表現に直面することもあります。その瞬間発されている匂いを前提とした言語や、振動での表現、人間には認識できないほどの素早く細かい動きを用いた言語など。
わからない言葉はわからない言葉のまま進んでいくので、言語習得の苦悩を忠実に再現していて、読みながら脳が爆発しそうになります。ぜひ読んでみてください。
カドカワのサイトでも無料で読めるみたいです。https://web-ace.jp/youngaceup/contents/1000086/
鳥でも犬でも人間には理解できていないものの発されてる言葉がいっぱいあるんだろうなあ。
研究対象としての十姉妹
調べていくうちに行き着いたのは、十姉妹の求愛ソングについて知るなら絶対はずせない岡ノ谷一夫さんの研究。岡ノ谷さんの本を読んだところそうだったのか!な情報が満載でした。
さえずり言語起源論 新版 小鳥の歌からヒトの言葉へ
ジュウシマツの歌には「文法」がある――これが転機をもたらす大発見だった。進化的な起源の異なる小鳥の歌が言語進化の謎に迫るカギとなるのはなぜなのか。初版刊行から七年半を経て性淘汰起源説に相互分節化仮説が加わった。「言語の起源は求愛の歌だった」とする進化のシナリオを、苦労・喜び・興奮満載の研究者人生とともに描く。
内容自体は少し難しいですが、わかりやすく書いてくださってるので中学国語の単元としての説明文くらいの読みやすさでした。
十姉妹の求愛ソングについてわかったこと
さえずり言語起源論を読んでわかったことをまとめます。
なぜ歌が複雑な方がモテるのか
十姉妹の祖先と言われているコシジロキンパラ(野生種)の頃は、常に敵に襲われる恐れがある環境でした。その中で、襲われる可能性が高まるであろう複雑で長い歌を歌える鳥ほど「余裕こいてても死なない=能力が高い鳥」としてメスにモテていました。
なぜ十姉妹の歌は複雑化したのか
コシジロキンパラが江戸時代日本に輸入され、家禽として250年以上も飼われてきました。野生とは違って、敵に襲われる恐れも無ければエサを探す時間も大幅に減りました。そこで十姉妹のオスたちは、コシジロキンパラ時代から受け継いでいるメスの好みにコストを全振りするべく、歌を磨いて複雑化させていく方向に進化したそうです。
十姉妹は通常時でも求愛ソングの練習をする
まわりにメスがいなくても十姉妹は歌を歌うらしい。これは自分の歌が下手にならないように練習しているんだそうです。まわりがうるさいときは、自分の声も聞こえるように音量をあげるんだとか。かわいいね。
シオコショウがあまりに歌ってばっかりなので心配でしたが少しほっとしました。
十姉妹たちの求愛ソングを分解してみた
雑にまとめると複雑な求愛ソング=モテということがわかりました。
序盤に聞いた三羽の十姉妹たちの求愛ソングはどうなのか。飼い主レモネフはイヤホンをつけて何回も求愛ソングを連続再生しながら歌の構造を記録してみました。(無限リスニングテストみたいでノイローゼになるかと思いました)
コショウ
[A]ヨオ!ヨオ!ヨオ!ヨオ!ヨオ! [B]ウィップ! [C]ィヨ〜〜〜〜〜オッ! ィヨ〜オッ ![B]ウィップ![C]ィヨ〜〜オッ!
[A]ヨオ!ヨオ!ヨオ!ヨオ!ヨオ!ヨオ![B]ウィップ![C]ィヨ〜〜〜〜〜〜〜〜オッ! [D](トン)グーー!(トン)グーー!(トントン)グーー!
よく出てくるひとかたまりをチャンクとしてコショウの1曲をわけた。私の耳のみによる分析だとDパートまである。
聞いているうちにだんだん能のような趣が出てきたな。
シオ
[A]クェクエ ケーケッ[B]パフ ![A]クェケウェ ケーケッ ![C]ブルルン[D]ゴァアアア ゴァアアア[C]ブルルン
コショウに比べひとつひとつのパートが短く、サビの[A]に戻ってくるまでがはやい。5回くらい繰り返してすべて同じ順番だった。
やっぱり一番音楽として聴きたいのはこれだわ。
葵ちゃん
[A]グアッ[B]キョキョキョッキョキョ[A]グア[C]グワワワ[D]キョ[A]グア[D]キョ[A]グワ [E]グオ[A]グア[B]キョキョキョッキョ[A]グア グア[C]グワワ[D] キョ [F]グワッ?[D] キョ[E]グオ グオ[A]グワ[B]キョキョキョッキョキョ[A] グワ[E]グオ グオ [G]グー グー グー グー グー? グー グー グー[A]グワ[B]キョキョキョッキョキョ[A]グワ
なにこれ…聞き取りの大変さが段違いでした(褒め言葉)楽譜が黒い。
Gパートまでありました。何を一節とすると良いかはわかりませんが、声色とリズム感が明らかに変わるところで区切りました。
かなり熟練の十姉妹サウンドを響かせてくれましたね。
十姉妹の求愛ソング聴き比べ まとめ
狂気じみた記事後半となってしまいましたが、十姉妹への愛がそうさせてしまいました。3羽の麗しい十姉妹の求愛ソングを聞き比べました。が、
結局わたしは十姉妹のメスじゃないのでどの歌が一番魅力的なのかわかりませんでした!!!全部素敵に聞こえます。すいません。
私はほかの種類の鳥を飼ったことがないのですが、もしかしたら他の鳥さんもユニークな発声をされているかもしれませんね。機会があればぜひ投稿してもらえればと思います。
読んでくださりありがとうございました。